與賀神社（与賀神社）は、佐賀県佐賀市に位置する由緒ある神社で、旧社格は県社です。この神社は、佐賀の歴史や文化に深く根付いており、地元の人々にとって重要な信仰の場となっています。官公庁では「与賀神社」と表記されることが多いですが、「與賀神社」とも書かれます。
與賀神社の主祭神は与止日女神（よどひめのかみ）であり、豊玉姫命（とよたまひめ）とも同一視されています。彼女は海神の娘であり、竜宮城の姫で、神武天皇の祖母としても知られています。
與賀神社では、以下の神々も共に祀られています：
與賀神社の創建は、欽明天皇25年（564年）と伝えられ、当初は土地開拓の守護神として祀られていたと考えられています。佐賀県公式サイトによれば、この神社は「佐嘉郡小津西郷の塚原大明神を遷して祀った」とされており、後に「与止日女大明神」の神号が朝廷から与えられたと伝わっています。
鎌倉時代には「與賀庄鎮守宮」として存在し、北条義時が建暦2年（1212年）に社殿を再興し、さらに寛元3年（1245年）には北条経時が勅により祭祀の礼式を定めました。
少弐氏の勢力が北九州で強まる時代、少弐資能が洪鐘を寄進するなど、與賀神社との結びつきが強くなりました。室町時代の末期には、少弐政資が父の旧館があった地に与賀城を築き、神社を鬼門の鎮守として社殿を修復しました。このときに造立された楼門は、現在国の重要文化財に指定されています。
鍋島氏からも崇敬を受け、特に藩祖鍋島直茂は朝鮮出兵の際、武運長久を祈願し、帰還後に社殿や神輿を寄進しました。初代鍋島勝茂も神社に毎年掃除人夫を提供し、社領として65石5斗を寄進しています。鍋島直茂夫人藤女による三の鳥居の寄進も行われています。
佐賀恵比須神社は、明治37年（1904年）に兵庫県・西宮神社の御分霊を戴き祀られた神社です。毎年1月9日、10日には「十日恵比須大祭」が行われ、佐賀市の新春の恒例行事として賑わいます。
與賀神社を再興した少弐政資を祀る神社で、1952年に重要文化財の楼門解体修理落成を記念して建立されました。毎年5月30日に少弐祭が開催されます。
與賀神社には国指定の重要文化財がいくつか存在します。
室町時代後期に造立された楼門は、1913年に特別保護建造物として指定され、現在も保存されています。楼門は、與賀城の城門が残っている伝承もあり、総丹塗の壮大な構造が特徴です。
「八丁馬場」と呼ばれる参道には三基の鳥居があり、三の鳥居は特に「肥前鳥居」の初期の例として有名です。また、石橋も桃山時代の特徴を持ち、1606年に鍋島直茂が寄進したものです。
與賀神社の本殿・幣殿・拝殿は、複合社殿として登録されています。これらの建物は精巧な彫刻が施されており、1758年から翌年にかけて建設されました。
毎年4月19日の春祭に公開される掛軸で、筆者は永松玄偲です。
與賀神社の境内には巨大な楠があり、特に拝殿の南側に立つ楠は樹齢1400年以上と推定され、佐賀県の天然記念物に指定されています。
掛軸「七夕星祭図」や副島種臣による木額「神降百幅」などの宝物も見どころです。「七夕星祭図」は江戸時代前期に描かれ、毎年8月7日に神殿で公開されています。
與賀神社は、佐賀市の歴史と文化に深く関わる神社であり、数々の貴重な文化財を有しています。その長い歴史の中で、少弐氏や鍋島氏といった有力な武家からの崇敬を受け続け、現在も地元の人々に愛されている場所です。歴史的な建築物や文化財を通じて、過去の時代に思いを馳せながら参拝できる魅力的な神社です。