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九千部山

(くせんぶやま)

九千部山は、福岡県と佐賀県にまたがる脊振山系の一部に位置する山で、標高は847.5メートルです。山頂は佐賀県鳥栖市側に位置し、北は博多湾、南は筑紫平野と有明海を一望することができます。九千部山は、自然の美しさと歴史的な背景を持つ観光スポットとして、多くの人々に親しまれています。

概要

九千部山の山頂には、弁財天を祀った石の祠が鎮座しています。この祠は、訪れる登山者や観光客に信仰の場を提供し、山の守護神としての役割を果たしています。福岡県側は脊振雷山県立自然公園、佐賀県側は脊振・北山県立自然公園に指定されており、豊かな自然環境が保護されています。

また、九千部山は、古くからの歴史や伝説が息づく場所でもあります。伊藤常足著『太宰管内志』によれば、『肥前国風土記』に登場する「草横山」は九千部山を指しているとされています。この山は古代から地元住民にとって重要な場所であり、豊かな自然環境と歴史が融合した観光名所です。

九千部山の名前の由来

九千部山の名前にまつわる民話が語り継がれています。天暦5年(951年)頃、若い僧侶である隆信沙門が、村人たちの台風や病気による苦しみを救うために、山頂で法華経を49日間で1万回唱える決意をしました。しかし、最後の7日間の夜、白蛇と遭遇し、その後、美しい女性の幻に惑わされ、決意が揺らいでしまいます。最終的に9千部を唱えたところで命を落とし、村人たちが彼を探しに行った際、谷の岩陰で亡骸が発見されました。この出来事が「九千部山」という山名の由来となったと言われています。

登山道と自然の魅力

九千部山にはいくつかの登山道が整備されており、東側の萬歳寺や南側の石谷山(さらに南には御手洗の滝があります)といった名所と連結しています。これらの登山道を利用して、山頂までのハイキングを楽しむことができます。登山道は適度な傾斜が続き、初心者から経験者まで幅広い層に適したルートとなっています。

山頂からの景色は圧巻で、晴れた日には遠く博多湾や有明海、そして広がる筑紫平野を見渡すことができます。また、登山途中には豊かな自然が広がり、四季折々の植物や動物に出会えることも魅力の一つです。

九千部山と放送の要

九千部山の山頂には、FMラジオやテレビ放送の中継局が設置されています。特にLOVE FMや佐賀県をカバーする地上デジタルテレビ放送の主要な中継局がこの山に位置しており、福岡・佐賀地域の放送において重要な役割を果たしています。九千部山からは、これらの電波が広く両県に届き、地域の情報発信基地として機能しています。

さらに、放送局以外にも業務用無線の基地局が設置されており、九州電力や西日本鉄道などの重要な通信インフラを支えています。このように、九千部山は観光や自然の美しさだけでなく、技術的な役割をも担っている山でもあります。

交通アクセスと周辺の観光地

福岡県側のアクセス

福岡県側からのアクセスは、那珂川市を経由して南畑ダム方面へ進むルートが一般的です。南畑ダムは福岡市民の主要な水源であり、その周辺には美しい自然が広がっています。ダムの周辺ではハイキングやピクニックが楽しめ、九千部山への登山の前後に立ち寄ることができるスポットです。

佐賀県側のアクセス

佐賀県側からは鳥栖市を経由して山頂へアクセスすることができます。九千部山への登山道は比較的整備されており、車でも山頂近くまでアクセスできる舗装された道路があります。これは、放送中継局の維持管理のために整備されたものですが、登山者にも利用されています。ただし、道路の一部は舗装されていないため、注意が必要です。

その他の観光スポット

九千部山の周辺には、他にも多くの観光スポットがあります。特に、南畑ダムや御手洗の滝は自然愛好家に人気のスポットで、訪れる価値があります。これらの観光地を巡りながら、豊かな自然に囲まれたリフレッシュタイムを過ごすことができます。

九千部山の歴史的価値

九千部山は、単なる観光地としてだけでなく、その歴史的な価値も高く評価されています。隆信沙門の伝説や、古代からの信仰の対象としての歴史は、地元住民や観光客にとって非常に魅力的な要素です。山頂の弁財天の祠や経塚、供養塔などの歴史的な遺構は、訪れる人々に過去の物語を伝えています。

まとめ

九千部山は、福岡県と佐賀県の境に位置する美しい自然と歴史が融合した山です。豊かな自然環境と登山の楽しさ、そして放送の拠点としての重要な役割を果たしており、多くの人々に親しまれています。九千部山を訪れる際には、山頂からの絶景や歴史的な遺産を楽しみながら、豊かな自然の中でリフレッシュすることができるでしょう。

Information

名称
九千部山
(くせんぶやま)

佐賀市周辺・鳥栖

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