日本では、有明海と八代海の一部にしか棲んでいないと言われる水陸両生魚であるムツゴロウ。有明海の珍味の代表格でもあり、そのユニークな外見に反して味は絶品。旬は5月から9月にかけてで、一般的な食べ方は蒲焼である。生きたままのムツゴロウの口から串を差し込み、裏表ともに素焼きにしてから、ウナギの蒲焼き用のタレに浸しては何度も焼きをくり返す。真っ黒に焼き上がったムツゴロウは、身がほどよくしまっており、頭から尾まで丸かじり出来るところが醍醐味。ウナギよりも美味しいという観光客も多い。
佐賀県の有明海は、干潮時に干潟が広がることで知られています。その中で生息するムツゴロウは有明海と八代海の一部にしか見られない珍しい魚で、“前海もん”として親しまれています。ムツゴロウは水陸両生魚で、干潮時に巣穴から姿を現します。5~7月の産卵期には、オスがジャンプする求愛行動をする様子が写真に収められ、全国から人が集まります。
旬は夏で、5~8月に引き潮の時に伝統的な「むつかけ漁」で獲れます。この時期には、鮮度の良いムツゴロウを素焼きにしてから甘辛く炊いた「むつごろうの蒲焼」が地元の名物料理として楽しまれます。また、刺身や味噌汁にして食べることもあります。
「むつごろうの蒲焼」は5月から8月までの季節限定で、活きの良いムツゴロウを使うため、塩水に漬けて泥吐きをさせる工程も欠かせません。串に刺して炭火で焼き、砂糖、醤油、酒を使ってじっくり煮込みます。この「むつごろうの蒲焼」を巻いた「むつごろう寿司」も地元では愛されています。
主な伝承地域:有明海沿岸地域
主な使用食材:ムツゴロウ