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九年庵

(くねんあん)

九年の歳月が築いた名庭園

九年庵は、佐賀県神埼市にある数寄屋造りの邸宅と美しい日本庭園からなる名勝地で、明治時代の実業家・伊丹弥太郎によって築かれました。長い年月と多くの職人の技によって完成した庭園は、日本庭園の名園として知られ、現在では国の名勝にも指定されています。自然と建築が見事に調和したこの庭園は、四季折々の美しさを楽しめる観光名所として多くの人々に親しまれています。

明治時代の実業家が築いた別邸と庭園

九年庵は、明治時代に佐賀の実業家であった伊丹弥太郎の別邸として建てられました。別邸は明治25年(1892年)に建築され、その後庭園の造成が始まりました。庭園の設計と作庭は、久留米で茶室や庭園づくりの名人として知られていた阿(ほとり)和尚に依頼され、明治33年(1900年)から実に九年もの歳月をかけて完成しました。この九年という長い年月が名前の由来となり、「九年庵」と呼ばれるようになりました。

茶室と書院を融合した数寄屋建築

九年庵の別邸は、近代和風の数寄屋建築として高く評価されています。建物は入母屋葦葺きの屋根に杉皮の腰張りの土壁、竹格子の連小窓、真竹を用いた濡縁など、日本の伝統的な素材と技法がふんだんに使われています。材質や色合い、意匠、構造など細部に至るまで丁寧に吟味されており、茶室の静けさと書院造の格式を兼ね備えた落ち着いた美しさが特徴です。建物と庭園が一体となって景観をつくり出しており、日本の伝統美を感じることができる建築となっています。

四季折々の景色が楽しめる日本庭園

九年庵の庭園には、ツツジやモミジ、苔など多くの植物が植えられており、四季を通してさまざまな景色を楽しむことができます。庭園の木々や苔は自然の木立と調和し、人工的でありながら自然の風景のような美しい空間をつくり出しています。また、庭園からは遠く筑紫平野や有明海を望むことができ、周囲の景色を取り込む「借景庭園」としても知られています。

秋の九年庵 ― 紅葉の名所として知られる庭園

九年庵は国内でも美しい紅葉で知られる名勝地で、特に秋の景色は格別です。庭園に植えられたさまざまな種類のモミジが、それぞれ異なる色に染まり、赤や黄色、橙色が重なり合って美しいグラデーションを描きます。苔の深い緑とのコントラストも美しく、庭園全体がまるで絵画のような風景になります。

紅葉の時期には庭園と周囲の山々の景色が一体となり、幻想的な雰囲気に包まれます。その美しさから、秋の一般公開の時期には多くの観光客が訪れる人気の観光スポットとなっています。

春の九年庵 ― 新緑が彩る静かな庭園

九年庵は秋の紅葉だけでなく、春の新緑の季節も大変美しいことで知られています。春になるとモミジの若葉や苔の新緑が庭園全体を鮮やかな緑色に染め、秋とはまた違った落ち着いた美しさを楽しむことができます。やわらかな光に包まれた庭園は静かで穏やかな雰囲気があり、ゆっくりと散策を楽しむのに最適な季節です。

現在では、紅葉の美しい11月と新緑が美しい5月に一般公開が行われており、年に限られた期間だけ見学できる特別な庭園となっています。

九年庵の名前の由来

「九年庵」という名前は、庭園が完成するまでに九年の歳月をかけて築かれたことに由来しています。もともとは庭園の西北端に建てられていた茶室の名前が「九年庵」でしたが、その茶室は現在は解体されており、現在では庭園と別邸全体を指して九年庵と呼ぶようになりました。

九年庵の概要

敷地と庭園の広さ

九年庵の総面積は約28,000平方メートルで、そのうち山林が約22,000平方メートルを占めています。庭園の面積は約6,800平方メートル、建物面積は約97坪(約320平方メートル)で、広大な自然の中に庭園と建物が配置されています。

植生と庭園の特徴

庭園には約60種類、約700本の樹木が植えられています。ツツジ類が約265本、モミジ類が約134本あり、さらに約40種類の苔が庭園の地面を覆っています。ウマスギゴケやホソバオゴケ、カガミゴケなどの苔が庭園の景観を美しく演出し、しっとりとした落ち着いた日本庭園の雰囲気をつくり出しています。

九年庵の歴史と保存

九年庵は完成後、個人所有の別邸として大切に管理されてきましたが、昭和57年(1982年)に佐賀県が土地を購入し、建物は所有者から県へ寄贈されました。その後、庭園や建物の保存が進められ、平成7年(1995年)には国の名勝に指定されました。

現在では歴史的価値の高い庭園として保存されており、秋と春の一般公開の期間には多くの観光客が訪れ、日本庭園の美しさと明治時代の建築文化を感じることができる貴重な場所となっています。

九年庵の魅力

九年庵の魅力は、長い年月をかけて築かれた庭園の美しさと、自然と建築が見事に調和した景観にあります。春の新緑、夏の深い緑、秋の紅葉、そして冬の静かな庭園と、四季それぞれに異なる表情を見せてくれます。

特に紅葉と新緑の季節は庭園が最も美しく、限られた公開期間の中でしか見ることができない特別な景色となっています。歴史、建築、庭園、自然のすべてを楽しむことができる九年庵は、佐賀県を代表する美しい観光地の一つです。

Information

名称
九年庵
(くねんあん)
リンク
公式サイト
住所
佐賀県神埼市神埼町仁比山1696
電話番号
0952-37-0107
営業時間

11月中旬 8:30~16:00

アクセス

【電車】JR神埼駅から三瀬脊振行き昭和バス約10分「仁比山神社前」下車徒歩すぐ

【車】長崎道 東脊振ICから約10分

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