大興善寺は、佐賀県三養基郡基山町大字園部に位置する、天台宗の寺院です。この寺院は、天台宗の別格本山にあたる格式の高い寺院であり、山号は「小松山」とされています。春にはつつじの美しさで知られ、訪れる観光客に自然の美と歴史的な趣を提供するスポットとして有名です。
大興善寺の歴史は、8世紀にさかのぼります。寺伝によると、この寺院は奈良時代、聖武天皇の勅願により行基によって創建されました。その後、平安時代には、天台宗の高僧である円仁(慈覚大師)によって中興されたと伝えられています。
しかし、戦国時代の享禄年間(1530年頃)の兵火により、寺院の堂塔は焼失してしまいます。その後、天文11年(1542年)に、当地を支配していた筑紫惟門が本堂を再建しました。江戸時代になると、この地域は対馬藩の領地となり、藩主の宗氏により寺院の整備が進められ、寺領が寄進されました。これにより、大興善寺は再び栄え、現在に至っています。
大興善寺の本尊は、行基の作と伝えられる十一面観世音菩薩です。この仏像は秘仏とされ、通常は公開されていません。しかし、12年に一度、午(うま)年にのみ開扉されます。直近では2014年の春に開扉され、多くの参拝者が訪れました。さらに、大興善寺は九州三十三観音霊場第4番札所、九州四十九院薬師霊場第49番札所としても知られています。
大興善寺には、重要文化財に指定されている木造の広目天立像と多聞天立像の2躯があります。これらの仏像は、寺院の本堂内に安置されています。また、本堂には、元太宰府天満宮の本地仏であった十一面観音座像や、不動明王立像、毘沙門天立像も安置されています。これらの仏像は、明治初期の廃仏毀釈の際に大宰府から大興善寺に移されたと伝えられています。
大興善寺は「つつじ寺」としても有名です。大正時代に、本堂の裏山を整備し、ヒラドツツジを中心に約5万本のツツジが植栽されました。特に、つつじの開花時期には「一目一万本」と呼ばれる美しい風景が広がり、多くの観光客が訪れます。この時期には寺院全体が鮮やかな色彩に包まれ、その美しさは圧巻です。
大興善寺の庭園には、ツツジだけでなくモミジも多く植えられています。秋になると、紅葉が鮮やかに色づき、夕方にはライトアップされます。この幻想的な光景は、訪れる人々に大自然と寺院の調和の美を感じさせます。紅葉の季節には、昼間のつつじとはまた違った趣を楽しむことができます。
大興善寺へのアクセスは、公共交通機関と自動車の両方が便利です。JR九州と甘木鉄道の基山駅から、きやまコミュニティバス園部線を利用し、「小松」バス停で下車します。所要時間は約15分です。また、つつじの開花時期や紅葉の季節には、基山駅から西鉄バスによる臨時バスが運行され、観光客の利便性が向上しています。自動車を利用する場合は、鳥栖筑紫野道路の園部インターチェンジから車で約4分の距離に位置しています。
大興善寺の近隣には、九州エリアで人気の「鳥栖プレミアム・アウトレット」があります。このアウトレットモールには多くの国内外のブランドが集まり、ショッピングを楽しむことができます。大興善寺を訪れた後に、買い物や食事を楽しむことができる便利な立地です。
大興善寺は、歴史と自然が調和した魅力的な寺院です。行基による創建から始まり、戦国時代や江戸時代を経て今日に至るまで、多くの人々の信仰を集めてきました。特に春のつつじや秋の紅葉の美しさは、訪れる人々を魅了し続けています。歴史的な仏像や庭園の美しさだけでなく、アクセスの良さや近隣の観光スポットも充実しており、観光客にとって魅力的な場所です。佐賀県基山町を訪れる際には、ぜひこの大興善寺に足を運んでみてください。