小城公園は、佐賀県小城市小城町にある都市公園（総合公園）です。その歴史は長く、地元の人々に愛される桜の名所としても知られています。かつては「桜岡公園」とも呼ばれ、現在も日本さくら名所100選、日本の歴史公園100選に選定されています。園内には、豊かな自然と歴史的建造物が点在し、訪れる人々を魅了します。
小城公園は約3,000本の桜が咲き誇ることで知られ、春には多くの観光客や地元の住民が花見に訪れます。桜だけでなく、園内にはツツジやフジなど季節の花々が美しく彩り、初夏にはホタルも観賞できるなど、四季折々の自然が楽しめます。
また、公園内には「自楽園」という庭園や、2つの神社（岡山神社と烏森稲荷神社）もあり、歴史的な雰囲気を感じられます。さらに、茶筅塚古墳という古代の遺跡も点在しており、歴史好きの方にも興味深いスポットです。
小城公園の歴史は、肥前国小城藩の初代藩主鍋島元茂に遡ります。元茂は、当地の小高い丘「鯖岡」に桜を植え、茶屋を設けたことで、公園の原型が作られました。その後、2代目藩主鍋島直能がこれを引き継ぎ、1656年に「桜岡」と改称してさらに多くの桜を植えました。
直能は、詩や和歌を通じてこの美しい景色を広く知らしめるため、学者や公家たちに桜岡の桜をテーマに詩を作らせました。このようにして、小城公園は詩や歌の題材としても有名になりました。
直能は、隠居後に庭園「自楽園」を桜岡の南麓に築きました。この庭園には大きな池があり、「心字池」と呼ばれています。周囲には美しい植栽が施され、当時は複数の楼閣があったとされていますが、現在は門など一部の建物のみが残っています。
公園内には、運動施設も充実しています。自楽園グラウンドは、野球やサッカーなどの球技が可能で、夜間照明も完備されています。さらに、6面のテニスコートもあり、スポーツを楽しむことができる場所として地元の人々に親しまれています。
遊具が設置された「元気広場」では、子どもたちが自由に遊ぶことができます。また、夏季には滝が流れるエリアもあり、家族連れでのんびりと過ごすことができます。
公園内には「烏森稲荷神社」があります。この神社は、1699年に3代藩主鍋島元武によって創建されました。江戸時代には小城藩屋敷内に祀られていたものを現在の場所に遷座しました。稲荷神社は、商売繁盛や五穀豊穣を祈願する神社として知られています。
もう一つの神社「岡山神社」は、桜岡の南麓に位置しています。1789年に創建され、國武大神（鍋島元茂）と矛治大神（鍋島直能）が祭神として祀られています。境内には有田焼の磁器製灯篭があり、歴史的価値のある建造物が点在しています。
桜岡の頂部には「茶筅塚古墳」があります。全長46メートル、後円部の直径は約26メートルと大規模な前方後円墳で、4世紀後半に築かれたと推定されています。この古墳は佐賀県内でも最古級の遺跡として、歴史的に重要な位置を占めています。
小城公園は、約3,000本の桜が植えられており、春には花見客で賑わいます。桜のライトアップも行われ、夜桜を楽しむことができます。また、5月頃には25,000本のツツジやフジの花が見頃を迎え、公園全体が色とりどりの花で彩られます。
公園内には、樹齢約300年の「大角槇（おおすみまき）」という木があり、さが名木100選にも選ばれています。高さ3.5メートル、枝張り7.1メートルにもなる巨大なイヌマキの木は、訪れる人々に自然の偉大さを感じさせます。
園内には「ホタル川」と呼ばれる川が流れており、5月頃にはゲンジボタルが飛び交う様子を観賞することができます。このホタルは、小城の自然を象徴する美しい風物詩として、多くの人々に親しまれています。
毎年4月上旬には、「春雨まつり」が開催されます。この祭りは、端唄「春雨」を作詞した小城藩士の柴田花守を偲ぶ催しで、長崎検番による披露が行われます。園内の「春雨」歌碑の前で、歴史と伝統を感じながら、春の訪れを楽しむことができます。
8月下旬には、自楽園グラウンドで「おぎアマチュア音楽祭」が開催されます。アマチュアバンドのステージが設けられ、ビアガーデンも同時に開催されるため、音楽を楽しみながら夏の夜を過ごすことができます。
小城公園は、美しい桜や歴史的建造物、豊かな自然に囲まれた公園です。四季折々の風景や、歴史ある神社や古墳を楽しむことができるだけでなく、スポーツ施設や遊具も充実しており、幅広い年代の人々に親しまれています。訪れる人々は、ここで心身ともにリフレッシュしながら、佐賀の歴史と文化に触れることができるでしょう。