武雄神社は、佐賀県武雄市武雄町の御船山の山麓に位置する神社です。3000年を超える樹齢を持つ御神木「武雄の大楠」が存在することで広く知られています。また、古代からの歴史を持つこの神社は、地域の守護神としても重要な役割を果たしてきました。境内には数多くの文化財や名所が点在し、訪れる人々に神聖な空気を感じさせます。
武雄神社の歴史は、『武雄神社本紀』によれば、天平3年（735年）に初代神主の伴行頼に神託があり、大宰府を通じて朝廷に奏上され、武内宿禰を主神として創建されたと伝わります。武内宿禰に加え、武雄心命、仲哀天皇、神功皇后、応神天皇の4神が合祀されています。
平安時代には、武雄神社は大宰府の府社として国使が参向し、杵島郡の鎮守として重要な役割を果たしました。これを証明する「武雄神社文書」と呼ばれる218通もの古文書が現存し、佐賀県の重要な文化財として保存されています。
元永年間（1118 - 1120年頃）に、武雄二代領主の後藤資茂が塚崎城を築城する際に、神社は現在の舳嶽東麓に遷されました。その後も、武雄神社は平氏追討や源氏との関係を深め、武家の祈願所としても重要な役割を果たしました。
文治元年（1185年）には、壇ノ浦の戦いで平家討伐を祈願し、源頼朝は後鳥羽上皇の勅使を送り、神社に感謝の意を示しました。この時、武雄四代領主の後藤宗明が流鏑馬を奉納し、それが現在まで続く流鏑馬神事の起源となっています。この出来事は、武雄神社文書にも記録されています。
寛永18年（1641年）に武雄領主22代鍋島茂和によって建立された「一ノ鳥居」は、武雄市の指定重要文化財です。高さ4.7メートル、柱間2.7メートル、笠木の長さは5.8メートルで、肥前鳥居の形式を取っています。左の柱には祈願の言葉が、右の柱には鍋島茂和による奉造の記録が刻まれています。
一ノ鳥居から下ノ宮まで続く馬場は、全長255メートル（140間）にも及び、毎年行われる流鏑馬神事の舞台となっています。
寛文12年（1672年）に建立された二ノ鳥居は、肥前鳥居と神明鳥居の折衷型です。この鳥居は社殿へ続く参道にあり、太鼓橋と共に神聖な雰囲気を演出しています。
武雄神社のシンボルとも言える御神木「大楠」は、推定樹齢3000年とされ、佐賀県の名木100選にも選ばれています。この大楠の幹には広さ12畳ほどの空洞があり、その中には石祠が祀られています。大楠は武雄市の天然記念物にも指定されており、訪れる人々に強い感動を与えています。
武雄神社の摂社である「下ノ宮」には、御祭神として平群木兎宿禰が祀られています。彼は武内宿禰の子孫であり、武雄神社の歴史と密接に関わりがあります。
荒神社は、1816年（文化13年）から奉斎されている神社で、地域の守護神として崇敬を集めています。
塩釜神社は、1837年（天保5年）に宮城県塩釜市の塩竈神社から勧請され、奉斎されました。城山稲荷神社は、1858年（安政5年）に京都の伏見稲荷大社より勧請され、殖産興業の守護神として祀られています。
武雄神社には、平安時代から室町時代にかけての古文書が多数伝わっています。その中には、天暦5年（951年）に書かれた「四至実検状」など、地方と中央の関係を示す貴重な資料が含まれています。これらの文書は現在、佐賀県立図書館に寄託され、保存されています。
1973年（昭和48年）に武雄市の重要文化財に指定された「肥前鳥居」は、独特の形式を持つ鳥居で、主に佐賀県周辺で見られるものです。参道入り口の一ノ鳥居と、社殿前にある三ノ鳥居が文化財に指定されています。
武雄の大楠は、1970年（昭和45年）に武雄市の天然記念物に指定されました。この巨大な楠は、樹高30メートル、幹の周り20メートル、枝張り33メートルにも達します。神聖な木として古来より崇拝され、多くの参拝者が訪れています。
武雄神社の主祭神は、武内宿禰であり、相殿神として武雄心命、仲哀天皇、神功皇后、応神天皇が祀られています。これら五柱の神々は「武雄大明神」と総称され、地域の守護神として広く信仰を集めています。
武雄神社は、佐賀県武雄市に位置しており、公共交通機関や車でのアクセスが便利です。JR武雄温泉駅から徒歩で約15分ほどの距離にあり、観光や参拝に訪れる人々で賑わっています。また、近くには武雄温泉や御船山楽園などの観光スポットもあり、併せて楽しむことができます。
武雄神社は、長い歴史と豊かな文化を持つ神社であり、地域の人々から深く信仰されています。3000年を超える御神木「武雄の大楠」や、武士たちとの繋がりを示す古文書の数々、そして美しい境内の景観は、訪れる人々に神聖な感動を与えます。佐賀県を訪れた際には、ぜひこの歴史ある神社に足を運んでみてください。