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武雄市図書館・歴史資料館

(たけおし としょかん れきし しりょうかん)

武雄市図書館・歴史資料館は、佐賀県武雄市に位置する市立の複合施設です。2000年10月1日に開館し、図書館と歴史資料館という二つの主要施設で構成されています。

武雄市図書館

図書館は、地域住民に開かれた学びの場として機能し、幅広いジャンルの書籍や資料が揃っています。市民や観光客にとって、静かに読書を楽しむだけでなく、さまざまな情報を得ることができる場所として親しまれています。また、館内では定期的にイベントやワークショップも開催され、学びや交流の場としても利用されています。

歴史資料館

歴史資料館は、特に幕末期において、日本の中で先進的な動きを見せた佐賀藩の歴史を伝える貴重な資料を収蔵しています。佐賀藩の中でも、武雄は蘭学の導入に積極的であったことから、多くの蘭書や近代的な兵器の資料などが保管されています。これらの資料を通じて、当時の先端技術や思想がどのように取り入れられたのかを知ることができます。

武雄鍋島家とその貢献

特に注目されるのは、12世紀から幕末にかけて武雄地方を支配していた「武雄鍋島家」に関する資料です。武雄鍋島家は、江戸時代において佐賀藩の一部として、蘭学の普及や近代兵器の導入に尽力しました。その結果として、蘭書や大砲などの資料が多く残されており、それらは「武雄鍋島家洋学関係資料」として平成26年に国の重要文化財に指定されています。

企画展示室の役割

歴史資料館内には「蘭学・企画展示室」があり、ここでは武雄鍋島家の資料を中心とした展示が定期的に行われています。年4回の企画展では、武雄市の歴史や文化にまつわるテーマが取り上げられ、市民や観光客に向けた展示が行われます。また、市民による自主展示も行われ、地域の歴史や文化を深く知る機会が提供されています。

武雄鍋島家洋学関係資料

武雄市歴史資料館では、特に「武雄鍋島家洋学関係資料」が重要な収蔵品として注目されています。これらの資料には、武雄鍋島家が蘭学を取り入れる際に用いた書籍や、武器、兵器の設計図などが含まれます。蘭書や洋書など、多岐にわたる資料が揃っており、これらは日本の近代化の過程を理解する上で非常に貴重です。

主な収蔵品の紹介

武雄鍋島家に関連する主要な収蔵品の中には、次のようなものがあります:

文書・記録類

蘭書の目録や、武雄鍋島家の関係者が長崎を通じて得た貿易関連の文書などが含まれています。これらの文書は、当時の蘭学や海外との交流の実態を示す重要な資料です。

蘭学書類

「エペイ目録訳書」や「ボンベカノン」など、武雄鍋島家が取り入れた蘭書の中には、兵器に関するものや、医学、化学に関するものも多く含まれています。これらは、当時の日本が西洋の知識をどのように受け入れ、それを実践に移していったかを示しています。

器物類

武雄鍋島家が所有していた大砲や、天体望遠鏡、顕微鏡などの器物類も展示されています。これらの品々は、当時の科学技術の進歩を感じさせるものであり、蘭学の影響を受けた武雄鍋島家の姿勢を象徴しています。

武雄市図書館の歴史

武雄市図書館の歴史は1916年にまで遡ります。当時、杵島郡教育会が御大典を記念して図書館の設置を計画し、「杵島図書館」として開館しました。最初の施設は西洋風の二階建てで、武雄高等小学校の前に位置していました。

その後、1930年には「武雄町立武雄図書館」となり、さらに1954年の市制施行に伴い、「武雄市立図書館」と改称されました。1967年には、元九州電力武雄営業所の建物を改築し、図書館として利用するようになりました。時代とともに施設の拡充や開館時間の延長などが行われ、地域の文化の拠点として機能してきました。

平成時代の発展

1998年には「市民文化の森構想」に基づき、現在の図書館・歴史資料館の建設が始まり、2000年10月に現在の形で開館しました。さらに、2013年には大規模な改装が行われ、TSUTAYAやスターバックスを併設することで、従来の図書館の枠を超えた複合施設として再生されました。この改装により、図書館の利用者層も広がり、多くの市民が訪れるようになりました。

最近の取り組み

武雄市図書館では、地域住民のみならず観光客にも開かれた施設を目指しており、様々な文化イベントやワークショップが定期的に開催されています。また、インターネットを活用した図書検索や貸出予約システムの導入により、利便性も向上しています。さらに、こども図書館の開館や、特別展示室での企画展など、家族で楽しめる施設としても進化を続けています。

指定管理者制度とカルチュア・コンビニエンス・クラブ (CCC)

2013年、武雄市図書館は指定管理者制度を導入し、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)を管理者として指定しました。この新しい運営体制により、TSUTAYAやスターバックスが図書館内に設置され、従来の図書館とは異なるカフェ併設型の文化スペースとして生まれ変わりました。

また、CCCによる運営は、日本国内の居住者を対象とした図書貸出範囲の拡大や、開館時間の延長、さらには年中無休での運営を実現しました。これにより、従来の図書館利用者だけでなく、カフェ利用者や観光客も気軽に立ち寄れる場所となっています。

施設のさらなる展開

2017年には、武雄市こども図書館が新たに開館し、地域の子どもたちやその家族が利用しやすい環境が整備されました。このこども図書館は、武雄市図書館と連絡通路でつながっており、両施設を行き来しながら、多様な読書体験や文化活動が楽しめます。

「武雄市図書館」という名称

武雄市図書館・歴史資料館の正式名称は条例に基づき「武雄市図書館・歴史資料館」とされています。しかし、指定管理者制度の導入以前から「武雄市図書館」という名称は一般的に使用されており、図書館部分を指す場合に使われることが多くなっています。

スリットボードと施設サイン

2013年の改装に伴い、施設内外には様々なサインや看板が設置されました。特に「スリットボード」と呼ばれる外壁デザインは、長崎県美術館などを手掛けたデザイナー原研哉によるものです。このようなデザイン要素が、武雄市図書館・歴史資料館の新しいイメージを形作っています。

まとめ

武雄市図書館・歴史資料館は、地域の文化の発信拠点としての役割を果たすと同時に、TSUTAYAやスターバックスを併設した現代的な施設として、多くの利用者に親しまれています。その歴史は長く、今後も新しい取り組みを通じて地域社会に貢献し続けることが期待されます。

Information

名称
武雄市図書館・歴史資料館
(たけおし としょかん れきし しりょうかん)

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