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西岡家住宅

(にしおかけ じゅうたく)

西岡家住宅は、佐賀県嬉野市塩田津に位置する、歴史的な商家であり、国の重要文化財に指定された建物です。塩田津は「重要伝統的建造物群保存地区」にも選定されており、歴史的な町並みが保存されています。

西岡家住宅の概要

西岡家は、江戸時代に長崎街道の宿場町として、また有明海の河港として栄えた塩田津で、廻船問屋を営んでいた豪商でした。1810年(文化7年)頃にこの地に移住し、現在の住宅は1852年(嘉永5年)に建設が開始され、1855年(安政2年)に完成しました。当時の裏庭は川に面しており、舟運による物資の搬出入が行われていました。

建築の特徴

西岡家住宅の家屋は、商家として機能するため、通りに面した部分は開放的な構造です。出入り口には「吊大戸(つりおおど)」という扉が設けられ、土間と店舗部分の間が広く開けられる設計となっています。この設計により、顧客の出入りや物品の搬入が容易になっています。

文化財指定

西岡家住宅は1974年(昭和49年)に国の重要文化財に指定され、塩田津全体も2005年(平成17年)に「重要伝統的建造物群保存地区」に選定されました。地域の町並みや建物の保存が進められています。

塩田津の歴史と特色

塩田津は、江戸時代には塩田川の河港として、また長崎街道の宿場町「塩田宿」として栄えました。白漆喰壁の町屋「居蔵家(いぐらや)」が立ち並ぶ美しい町並みが特徴で、江戸時代の町割りや水路の構造が今も残っています。

塩田津の発展と商業活動

18世紀以降、塩田津は有田焼の原料となる天草陶石などの貿易拠点となり、多くの商家が集まりました。江戸末期の資料には、塩田津には100件以上の商家が存在していたことが記されています。

火災と復興

塩田津は18世紀に度々火災に見舞われましたが、その後、防火性の高い漆喰造りの「居蔵家」が普及しました。1790年(寛政2年)に建てられた吉富家住宅がその代表例です。さらに1828年(文政11年)の風害の後も、このような家屋が多く建てられるようになりました。

塩田津の町並み保存活動

塩田津では、1990年代から町並み保存活動が本格化し、「塩田塾」や「町並み研究会」が発足しました。2006年(平成18年)には「塩田津町並み保存会」が設立され、地域の景観保全と修理事業が進められています。

保存の課題と防災対策

保存活動の中で、豪雨時の排水対策が重要な課題となっています。旧街道では従来の路面高を維持するため、浸水対策との調整が求められています。また、防火対策として、防火池や消火栓の整備が進められています。

主な建造物と見どころ

西岡家住宅

西岡家住宅は、1855年(安政2年)に建てられた居蔵造りの大型町家で、国の重要文化財に指定されています。舟運を利用した商売で栄えた西岡家の繁栄を物語る建物です。

杉光陶器店

杉光陶器店は、1855年に建てられた木造3階建の大型町家で、その主屋と3つの蔵が国の登録有形文化財に指定されています。かつては銀行としても利用されたことがあり、歴史的な価値が高い建物です。

旧下村家住宅

江戸時代の建築で、現在は嬉野市指定の重要文化財となっています。伝統的な町家建築の代表例として、訪れる人々に歴史の重みを伝えています。

アクセス情報と公開時間

アクセス

JR長崎本線「肥前鹿島駅」から祐徳バス塩田経由嬉野温泉行き、または西九州新幹線「武雄温泉駅」から嬉野市役所塩田庁舎経由祐徳神社前行きのバスを利用し、「塩田下町」で下車してください。

公開時間

外観の見学は自由ですが、内部の公開は日曜と祝日のみです。

まとめ

西岡家住宅と塩田津は、歴史と伝統が息づく場所であり、その美しい町並みは訪れる人々を魅了します。江戸時代からの商業活動や町家建築の遺構が多く残るこの地区は、観光客にとっても魅力的なスポットです。地域の保存活動も進展しており、今後も伝統的な町並みの保全が期待されています。

Information

名称
西岡家住宅
(にしおかけ じゅうたく)

嬉野・武雄・伊万里

佐賀県