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陶山神社(有田町)

(すえやま じんじゃ)

陶山神社は、佐賀県西松浦郡有田町大樽に位置する神社で、有田焼の発展と陶工たちの信仰を集めてきた場所です。この神社は、正式には「すえやまじんじゃ」と読むのですが、一般的には「とうざんじんじゃ」とも音読されることがあります。神社は、歴史的に有田焼の産地として名高い有田町にあり、磁器に関連した独特の文化が色濃く反映されています。

概要

有田町は有田焼という磁器で知られており、陶山神社もその磁器文化を象徴する場所です。神社の鳥居や狛犬、門柱、さらには絵馬やお守りまで磁器で作られているという点で、他の神社とは異なるユニークさを持っています。この神社は、江戸時代に有田焼の陶工たちを統括していた鍋島藩の皿山代官の指示で建立されました。そのため、陶山神社は「有田焼陶祖の神」として陶工たちに深く信仰されてきました。

参道を横切る佐世保線

この神社の特筆すべき特徴の一つとして、参道を九州旅客鉄道(JR九州)の佐世保線が横切っていることが挙げられます。参道の途中に線路があり、訪れる際には踏切を渡らなければなりません。この風景は珍しい光景であり、鉄道ファンにとっても人気のスポットです。

祭神

陶山神社の主祭神は、応神天皇(八幡神)です。また、有田焼の発展に深く関わりを持つ人物として、鍋島直茂と李参平も神として祀られています。

由緒

陶山神社の創建は万治元年(1658年)に遡ります。この年、当時の有田皿山代官が神之原八幡宮(現在の佐賀県伊万里市二里町)から分霊を勧請し、神社を建立しました。創建当初の名称は「有田皿山宗廟八幡宮」とされ、皿山代官管轄下のすべての神社の筆頭として位置づけられていました。

その後、明治初年には「陶山神社」に改称され、1872年(明治5年)には村社に列せられました。また、大正6年(1917年)には、有田焼創成300年を記念して有田焼の祖である李参平を顕彰するための記念碑が神社の背後にある山頂に建立されました。

祭祀と行事

陶山神社の祭祀は、毎年10月16日と17日に行われます。この祭典は、椎谷神社の秋祭りとあわせて「有田くんち」と呼ばれ、有田町全体を巻き込んだ盛大な祭りとして有名です。地元住民や観光客が多数訪れ、活気に満ちた祭りの雰囲気が町全体に広がります。

文化財

磁器の鳥居

陶山神社には、磁器で作られた鳥居があります。この鳥居は明治21年(1888年)に竣工し、平成12年(2000年)には国の登録有形文化財として指定されました。磁器の鳥居は全国的にも珍しく、陶山神社のシンボル的存在です。

青銅製燈籠

神社には、1884年(明治17年)に奉納された青銅製の燈籠があります。高さは約2メートルあり、祭礼の神事当番町を務めた大樽町から奉納されたものです。この燈籠の台座には「佐賀郡長瀬町 鋳師 谷口清八」と刻まれており、有田町の重要文化財に指定されています。

青銅製狛犬

陶山神社には、青銅製の狛犬もあります。この狛犬も有田町の重要文化財に指定されており、神社の歴史的価値を高めています。

その他の特徴

神社の境内へは石段を上ってアクセスしますが、その途中で佐世保線の踏切を渡る必要があります。この踏切には遮断機がなく、通行する際には警報機の音に十分注意が必要です。このユニークな参道は、2008年5月14日にテレビ番組『ナニコレ珍百景』でも「スリル満点の神社」として紹介され、珍百景に認定されました。

また、神社の線路を挟んだ反対側には、内山地区があります。この地区は、有田内山として国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されており、歴史的価値の高い建物群が並んでいます。神社を訪れた際には、この内山地区もぜひ一緒に見学することをおすすめします。

アクセス

陶山神社へのアクセスは、佐世保線の上有田駅から徒歩で約10分です。公共交通機関を利用しても比較的アクセスしやすい場所にありますので、観光客にとっても訪れやすい神社です。

陶山神社は、有田焼の歴史と文化に深く関わる重要な神社です。有田焼の美しい磁器が散りばめられた境内を訪れ、その歴史に触れることで、日本の陶芸文化をより深く理解することができるでしょう。

Information

名称
陶山神社(有田町)
(すえやま じんじゃ)

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