旭ヶ岡公園は、佐賀県鹿島市高津原に位置する美しい都市公園です。桜の名所として知られ、「一目五千本」とも称されるほど多くの桜が春に咲き誇ります。また、日本の歴史公園100選にも選定されており、桜だけでなくその歴史的背景や施設も魅力的です。
旭ヶ岡公園の歴史は、肥前国鹿島藩第13代藩主であった鍋島直彬公によって1861年(文久元年)から1862年(文久2年)にかけて始まりました。彼は鹿島城域にある松陰神社の境内の一部に桜を植樹し、この場所を『衆楽園』と名付けました。この衆楽園では、毎年春に領民とともに観桜の宴が催され、地域の人々に愛され続けてきました。
1874年(明治7年)、佐賀の乱によって鹿島城の建物はほぼ全焼しましたが、大手門と赤門という2つの門が残されました。その後、1887年(明治20年)にはこの2つの門の間に桜が植えられ、美しい並木道が作られました。また、1914年(大正3年)には九州で初めて夜桜の電飾が施され、夜の桜見物が楽しめるようになりました。この演出により、旭ヶ岡公園はさらに多くの花見客を引き寄せるようになりました。
松陰神社の敷地では桜見物が増加し、スペースが足りなくなったため、1921年(大正10年)には公園が赤門の東側に拡張され、新たに「旭ヶ岡公園」として命名されました。これにより、地域の桜の名所としての地位が確立されました。
旭ヶ岡公園には多くの歴史的な石碑や銅像が建立されており、訪れる人々にその豊かな歴史を伝えています。以下のような記念碑や銅像が公園内にあります:
公園内には、歴代の鹿島藩主を祀る松陰神社があります。この神社は、寛永10年(1633年)に初代藩主鍋島忠茂を祀るために創建され、鹿島城とともに移転し、1870年(明治3年)に社殿が拡張されました。境内には楠社や祖霊社などもあり、歴史的な価値を感じることができます。
毎年春には、正面の大手門から赤門までの曲がった登城路に沿って桜並木が続きます。この期間にはライトアップが行われ、夜桜も楽しめます。出店が立ち並び、地元の人々や観光客が訪れる賑やかな季節となります。また、「桜樹保存会」が組織され、毎年桜の植樹が行われ、隣接する鹿島高校の卒業生による記念植樹も多く見られます。
旭ヶ岡公園に隣接して、鹿島市の街区公園である城内公園が整備されています。この公園には遊具広場や駐車場が設けられ、家族連れで楽しむことができる場所となっています。また、佐賀県立鹿島高等学校の赤門学舎および大手門学舎が近隣に位置し、学生たちも日常的に利用する公園です。
旭ヶ岡公園へは、JR長崎本線の肥前鹿島駅から徒歩約10分の距離にあります。公園には駐車場が設けられていますが、台数は10台と限られているため、桜まつりの期間には臨時駐車場が用意されます。公共交通機関を利用する場合でも、駅からのアクセスが便利で、気軽に訪れることができます。
旭ヶ岡公園は、その歴史的背景と美しい桜が魅力的な観光地です。桜の名所として知られるだけでなく、鍋島家にゆかりのある歴史的な場所でもあり、訪れる人々に深い感慨を与えます。春には花見を楽しみ、歴史を感じながら散策できる旭ヶ岡公園は、佐賀県鹿島市を訪れる際にぜひ立ち寄りたい場所のひとつです。