鹿島市は、佐賀県の南部に位置する市で、旧藤津郡に属していました。市の東部は有明海に面し、南西部では長崎県と接しています。また、多良山系が市の南部に広がっており、いくつかの川が山から平野に向かって流れています。
佐賀県内でも特に歴史と自然に恵まれた地域であり、多くの名所や観光スポットを持つ魅力的な場所です。茨城県の「鹿嶋市」とは異なるため、混同しないよう注意が必要です。
鹿島市には、歴史的な建物や美しい自然を楽しむことができる観光スポットが点在しています。以下に、特に注目すべき名所や旧跡を紹介します。
日本三大稲荷の一つに数えられる祐徳稲荷神社は、鹿島市を代表する観光名所です。この神社は、商売繁盛や家内安全の神として信仰され、多くの参拝者が訪れます。特に春の桜や秋の紅葉が美しく、四季折々の風景が楽しめます。
祐徳稲荷神社の参道に広がる門前商店街は、神社を訪れる参拝客で賑わい、多くの土産物や地元の名物が並んでいます。参拝の後に立ち寄り、特産品や地元のグルメを楽しむことができる場所です。
鹿島城跡にある旭ヶ岡公園は、「日本の歴史公園100選」にも選ばれた美しい公園です。春には桜が満開になり、多くの花見客が訪れることで有名です。
くど造りの武家屋敷の遺構である旧乗田家住宅は、歴史的な価値が高く、当時の武士の生活を垣間見ることができる貴重な文化財です。
鹿島市には、かつて武家が暮らしていた地域があり、武家屋敷通りと呼ばれるエリアには当時の建物が保存されています。歴史を感じながら、散策することができます。
蓮厳院には、国の重要文化財に指定されている木造阿弥陀如来坐像（2躯）や木造薬師如来坐像があり、歴史的にも宗教的にも非常に重要な場所です。
泰智寺には、市指定の重要文化財である木造頂相像や木造羅漢像（16躯）が保存されています。これらの仏像は、鹿島市の歴史と文化を象徴する存在です。
新義真言宗大本山誕生院は、仏教の真言宗において重要な位置を占める寺院で、訪れることで仏教文化を感じることができます。
松岡神社は、地域の守り神として信仰されており、地元の人々に親しまれています。神社周辺には自然が広がり、散策にも最適です。
鹿島藩鍋島家の菩提寺である普明寺は、鹿島市の歴史を知る上で欠かせない場所です。境内には、美しい庭園とともに歴史的な建造物が点在しています。
鹿島市の染織文化を紹介する染織資料館では、伝統的な技術や製品が展示されており、地元の工芸品に触れることができます。
臥竜ヶ岡公園は、自然の中でのんびりと過ごせる場所で、季節ごとに異なる風景が楽しめます。特に桜や紅葉の時期には、多くの観光客が訪れます。
肥前浜宿は、江戸時代の風情を今に伝える重要伝統的建造物群保存地区です。古い町並みが残るこのエリアでは、歴史を感じながらゆったりとした時間を過ごせます。
有明海干潟に位置する新籠海岸は、干潟での自然観察や海の美しい景色を楽しむことができる場所です。この海岸は、2015年にラムサール条約湿地に登録されており、保護された自然環境が広がっています。
道の駅鹿島は、鹿島市の物産や特産品を購入できる観光スポットです。新鮮な農産物や地元の特産品を手に入れることができるので、訪れる際にはぜひ立ち寄りたい場所です。
鹿島市では、年間を通じてさまざまな祭りや催し物が開催され、多くの観光客が訪れます。以下に、主な祭事や催事を紹介します。
毎年3月下旬から4月上旬にかけて、旭ヶ岡公園で桜まつりが開催されます。満開の桜の下で行われるイベントは、地元の人々や観光客にとって春の風物詩です。
5月下旬から6月上旬にかけて行われる鹿島ガタリンピックは、有明海の干潟を舞台にしたユニークなスポーツイベントです。全国から集まった参加者たちが、泥まみれになりながら競技に挑む姿は、見ているだけでも楽しめます。
毎年7月14日に開催される鹿島納涼花火大会は、夏の夜空を彩る花火が美しく打ち上げられる人気のイベントです。地元の人々や観光客で賑わうこの祭りは、夏の風物詩として親しまれています。
鹿島市には、伝統的な工芸品や地元の特産品が豊富にあります。特に注目すべき特産品をいくつかご紹介します。
佐賀錦は、もともと肥前鹿島藩で作られていた「鹿島錦」が起源となっており、その豪華絢爛な織物は国内外で高く評価されています。佐賀錦の特徴的なデザインは、花鳥風月をモチーフにしており、伝統的な美しさを持っています。
鹿島市は有明海に面しており、新鮮な海苔の生産が盛んです。鹿島産の海苔は、風味豊かで質が高く、全国的にも評価されています。
鹿島市周辺では、温暖な気候を活かしてみかんの栽培が行われています。甘くてジューシーなみかんは、鹿島市を訪れた際のお土産としても人気です。
鹿島市の特産品のひとつである稲荷ようかんは、祐徳稲荷神社にちなんで作られた伝統的なお菓子です。やさしい甘さが特徴で、お土産としても人気があります。神社参拝の際にはぜひ手に取ってみてください。
のごみ人形や浅浦甚八笠、浮立面など、鹿島市には多くの伝統工芸品もあります。これらの品々は、地元の職人たちによって受け継がれてきた技術を感じることができ、地域の歴史や文化に触れる機会となるでしょう。
鹿島市は佐賀市の南西約60kmに位置しており、中心市街地は市の北部に広がる平野部にあります。市域の地形は山岳地帯と平野部、そして海岸部と多様であり、観光や自然探訪に適しています。
鹿島市は長い歴史を持つ町ですが、近代化の波に乗り、特に明治時代から大きな変化を遂げました。1889年（明治22年）4月1日には町村制施行により、藤津郡南鹿島村、北鹿島村、八本木村、古枝村、能古見村、七浦村が成立しました。その後、1912年（大正元年）12月1日には南鹿島村が改称し、鹿島町となり、同時に町制を施行しました。また、同日には北鹿島村も鹿島村と改称されました。こうして現在の鹿島市の礎が築かれたのです。
さらに、八本木村は1918年（大正7年）に浜町と改称し、町制を施行しました。その後、1954年（昭和29年）には、鹿島町、能古見村、古枝村、浜町、鹿島村が合併し、鹿島市が誕生しました。また、1955年（昭和30年）には、七浦村の一部が鹿島市に編入されました。このような町村の合併と発展により、鹿島市は現在の市域を形成するに至ったのです。
2013年（平成25年）3月30日からは「かし丸」というマスコットキャラクターが鹿島市の公式キャラクターとして活躍しています。かし丸は、地域イベントや観光プロモーションに参加し、鹿島市を全国に広めるために重要な役割を担っています。
最寄りの空港は佐賀空港で、市内にはJR九州の長崎本線が通っています。中心駅は肥前鹿島駅で、新幹線「かささぎ」も発着しています。市内には祐徳バスが路線を展開しており、隣接市町村へのアクセスが便利です。
九州旅客鉄道（JR九州）長崎本線の肥前鹿島駅、肥前浜駅、肥前七浦駅、肥前飯田駅が市内にあります。肥前鹿島駅は特急「かささぎ」の発着駅となっており、交通の要所です。
祐徳バスが市内全域をカバーしており、白石町や嬉野市、太良町などへのアクセスが可能です。
鹿島市は、第一次産業から第三次産業まで幅広い産業が発展しています。平成17年国勢調査によると、第一次産業に従事する人口は17.7%、第二次産業は26.1%、第三次産業は56.6%を占めています。
鹿島市の特産品としては、有明海での海苔養殖や、温暖な気候を活かした温州みかんの栽培が挙げられます。さらに、祐徳薬品工業や祐徳自動車などの地元企業が地域経済を支えており、また多くの製造業関連企業も市内に事業所を構えています。
鹿島市は、多良山系の美しい山々や有明海の風景など、自然が豊かな場所です。観光地としても祐徳稲荷神社や温泉地などがあり、多くの観光客が訪れています。特に祐徳稲荷神社は、日本三大稲荷の一つとして有名で、多くの参拝客が訪れる名所です。
鹿島市には、嬉野温泉や塩田温泉といった有名な温泉地もあり、観光やリラクゼーションを楽しむことができます。また、歴史的な建造物や文化的なイベントも多く、市内には観光客が楽しめるスポットが多数存在します。
鹿島市では、毎年さまざまな祭りやイベントが開催されており、地域の伝統や文化が継承されています。例えば、祐徳稲荷神社の初詣や、夏に行われるお祭りなど、多くの市民や観光客が集まり、賑やかな雰囲気が広がります。
鹿島市は、自然豊かな環境と歴史的な背景を持つ魅力的な場所です。産業や交通、教育、医療など、住民の生活を支えるインフラも整備されており、住みやすい環境が整っています。さらに、祐徳稲荷神社や温泉地など、観光資源も豊富で、国内外から多くの観光客が訪れています。これからも鹿島市は、地域の魅力を発信しながら発展していくことでしょう。