有田陶磁美術館は、佐賀県西松浦郡有田町にある陶磁器専門の町立美術館で、陶磁器の歴史や美術に関心がある方にとって訪れるべき重要な施設です。
この美術館は、明治時代の初めに建てられた石造りの焼き物倉庫(2階建て)を改築して、1954年5月1日に開館しました。開館当初から、陶磁器の収集、保存、展示を行うだけでなく、窯業に関する資料の収集や研究を通じて、陶磁の美術史や産業史を紹介してきました。しかし、近年は類似の施設が増えたことから、有田陶磁の歴史に焦点を絞り、優れた作品の展示に特化しています。
有田陶磁美術館では、有田陶磁の創始期である17世紀初頭から現代に至るまでの幅広い作品が収蔵されています。特に、幕末から近代にかけての作品が中心となっており、有田焼や伊万里焼の美術的な進化とその背景を学ぶことができます。
美術館には、多くの重要文化財が収蔵されています。特に注目すべきは以下の作品です。
有田陶磁美術館は、佐賀県の登録博物館第一号として昭和29年(1954年)に開館しました。建物は明治7年(1874年)に建てられた焼き物倉庫を利用しており、外観は石蔵、内部は木造の2階建てという独特の建築様式です。この建物自体も、有田内山の重要伝統的建造物群の一つとして指定されています。
開館当時から、世界でも数少ない焼き物専門の美術館として県内外から多くの来館者を迎えてきました。館内に入ると、まず目に飛び込んでくるのは、佐賀県重要文化財である「染付有田皿山職人尽し絵図大皿」と「陶彫赤絵の狛犬」です。特に「染付有田皿山職人尽し絵図大皿」は、江戸時代の有田の製陶工房の様子を詳細に描いた作品として、歴史的にも美術的にも非常に価値があります。
平成31年4月27日には、展示内容が大きくリニューアルされ、明治時代を中心とした作品が展示されています。このリニューアルは、近くにある「旧田代家西洋館(有田異人館)」が国の重要文化財に指定されたことを契機に行われたもので、旧田代家西洋館と有田陶磁美術館の両方で、明治時代の有田の窯業文化を存分に味わうことができます。
リニューアルされた展示では、当時の窯元や豪商たちが手掛けた精緻な製品が並び、明治時代から昭和初期にかけての有田焼の変遷を感じることができます。特に、明治時代の洋風建築と有田焼の融合は、当時の国際的な交流や影響を反映しており、非常に興味深い展示となっています。
有田陶磁美術館は、佐賀県西松浦郡有田町大樽1-4-2に位置しています。最寄り駅はJR九州佐世保線の上有田駅で、駅から徒歩15分ほどです。また、JR九州佐世保線の有田駅からは、コミュニティバス「札の辻」停留所で下車し、徒歩5分でアクセスすることができます。
美術館周辺には、他にも多くの観光スポットがあります。有田町は、有田焼で有名な地域であり、毎年「有田陶器市」が開催され、多くの観光客で賑わいます。また、有田内山伝統的建造物群保存地区では、歴史ある建造物と美しい町並みを楽しむことができます。
有田陶磁美術館は、日本の陶磁器文化を深く理解するために欠かせない場所です。美術館の歴史ある建物自体も貴重な文化財であり、内部には有田焼の歴史を物語る重要な作品が数多く展示されています。特に、幕末から近代にかけての有田陶磁器の変遷を学べる展示は、訪れる人々に感動と新たな知識を提供してくれるでしょう。有田町を訪れた際には、ぜひ足を運んでみてください。