佐賀県杵島郡に位置する江北町は、佐賀県の中央部に位置する町で、交通の分岐点として知られています。鉄道や国道が交差する場所にあり、多くの観光スポットや歴史的名所が点在しています。
江北町の北西部の丘陵地に建つ「白木聖廟神社」は、孔子廟として知られています。古代の儒教の思想家である孔子を祀るこの神社は、地域の精神的な拠り所であり、多くの参拝者が訪れる名所です。また、神社の近くには孔子像も設置されており、訪れる人々に知恵と学問の大切さを伝えています。
「白木聖廟神社」の近隣には、自然豊かな「白木パノラマ孔園」が広がっています。この公園では、草スキー場やキャンプ場などのアウトドアアクティビティが楽しめ、四季折々の自然を満喫することができます。家族連れや自然愛好家にとって、リラックスできる場所として人気があります。
「馬頭観音堂」は、天平9年(737年)に行基が作ったと伝えられる観音像が彫られていた楠の木で知られています。この観音堂は長崎から各地への旅路にあるため、ドイツ人医師ケンペルやシーボルトも訪れ、その日記や紀行文に記録を残しています。シーボルトは画家フレネーチェに実際の観音像を描かせたほど、印象的な場所でした。しかし、嘉永4年(1851年)にお堂が焼失し、楠の木も部分的に焼けてしまいました。現在は2代目と3代目の楠が生い茂り、その跡を守っています。観音堂自体は平成10年(1998年)に再建され、江北町の天然記念物に指定されています。
「東照寺」には「身代り観音」が祀られており、地元の人々から厚く信仰されています。困難な状況や病から救ってくれる観音様として、昔から多くの参拝者が訪れています。
江北町を通る「長崎街道小田宿」は、かつて長崎への重要な通り道であった歴史的な場所です。旅人や商人が行き交ったこの街道沿いには、江戸時代の面影が残る建物や風景が広がっており、歴史好きにはたまらないスポットです。
「関川家住宅」は、明治中期に銀行事務所兼住宅として建てられた歴史的な建物です。長崎街道沿いの上小田地区に位置し、江北町の歴史を感じられる貴重な建物として、佐賀県遺産に選定されています。
江北町では、年間を通じて多くの催し物や祭りが開催され、地域の文化や歴史に触れる機会が提供されています。
「白木孔子像祭」は、毎年4月21日と9月21日に行われる祭りで、孔子像に感謝し、知恵や学問の発展を祈る儀式です。この祭りは、地域の教育や文化の振興にも大きく寄与しています。
7月上旬に行われる「天子社祇園」は、地域の安全と豊作を祈る夏祭りで、多くの人々が参加します。伝統的な神輿や踊りが披露され、江北町全体が賑わうイベントです。
「古代かがり火祭り」は、毎年11月に行われる幻想的な祭りです。かがり火が灯される中、地域の歴史や伝統を感じながら、夜の江北町を楽しむことができます。
江北町は、豊かな自然環境に恵まれており、多様な特産品が生産されています。ここでは、江北町を代表する特産品をいくつかご紹介します。
江北町は自然に恵まれた町で、いくつかの山や川が町内に存在します。町内の主要な山としては、大平山(269.8m)、御岳山(243.4m)、辨天山(195m)があり、これらの山々が町の風景を形作っています。また、六角川と牛津川が流れ、新堤という湖沼も見られます。
江北町の気候は温暖で、年間の平均気温は15.8度、年間降水量は1,853mmです。平均的に初霜は11月上旬、終霜は4月上旬に見られます。四季折々の気候の変化を楽しむことができ、農業などの産業にとっても適した環境です。
江北町の歴史は、1932年(昭和7年)4月1日、小田村・山口村・佐留志村が合併して江北村が誕生したことに始まります。1952年(昭和27年)4月1日には町制が施行され、江北町となりました。その後、1956年(昭和31年)9月30日には、小城郡砥川村の一部を編入し、現在の形となりました。
平成時代に進められた「平成の大合併」の際、江北町は杵島郡の他の町村と合併協議会を設立しましたが、新しい役場の建設位置を巡る意見の対立により協議は破綻し、最終的には単独町制を維持することを決定しました。
江北町は九州新幹線(西九州ルート)の建設計画にも影響を受けました。2008年の町長選挙では、新幹線建設に反対する田中源一が当選しましたが、その後も佐賀県や長崎県、JR九州との合意のもとで新幹線の建設は進められました。田中元町長は、新幹線建設による地域への利益が少ないと主張し、計画に対する反対意見を繰り返しました。
江北町の主要産業は、農業と畜産業です。特に、減農薬有機米やみかん、水田ブドウ、レンコンなどが特産品として有名です。また、ローケツ染や杵島牛などの伝統産業や特産品も地域経済を支えています。
江北町には、地元企業としてイワフチや佐賀プラント工業が本社を構えています。また、SUMCO佐賀工場やサトウ食品佐賀工場など、多くの企業が町内に工場や事業所を設置し、地元経済に貢献しています。
江北町の交通の中心は江北駅であり、九州旅客鉄道(JR九州)の長崎本線と佐世保線が交差する分岐駅です。2022年9月23日には、長年「肥前山口駅」として知られていた駅名が、町制施行70周年を記念して江北駅に改称されました。町の交通拠点として、長崎や佐世保方面へのアクセスが便利です。
江北町内を走るバス路線も充実しており、祐徳バスが町を通り、佐賀市や武雄市、鹿島市との連絡を提供しています。
最寄りの空港は佐賀空港で、町内から空港までの乗合タクシーが利用可能です。また、福岡空港も近く、地下鉄やバスを利用してアクセスすることができます。
江北町のマスコットキャラクターとして1994年に誕生したビッキーが有名です。さらに、1996年にはピンキーが登場し、2012年11月に二人は結婚しました。そして2017年には子供のチビッキーが誕生し、家族として親しまれています。
江北町は、歴史的な名所や豊かな自然が魅力の町です。白木聖廟神社や白木パノラマ孔園などの観光スポットでは、古代からの文化や自然を楽しむことができ、馬頭観音堂や長崎街道小田宿などの歴史的な場所では、旅の歴史に触れることができます。また、江北町の特産品は新鮮で高品質なものが多く、地域の農業と伝統を大切に守りながら、地元の味を楽しむことができます。
さらに、町全体が活気に満ちた祭りやイベントを通じて、地域の文化を育み、訪れる人々に感動を与えています。白木孔子像祭や天子社祇園、古代かがり火祭りなどの催しは、江北町の伝統や歴史を未来に伝える大切なイベントです。これらの祭りに参加することで、地域の人々との交流や古代の文化に触れる機会が得られることでしょう。