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縫ノ池

(ぬいのいけ)

縫ノ池は、佐賀県杵島郡白石町の西部、大字湯崎の川津地区に位置する美しい湧水池です。面積は約0.6ヘクタールと広く、池の中央には市杵嶋姫命を祀る厳島神社が佇んでいます。この池は、地下水の過剰な汲み上げにより長い間枯渇していましたが、2001年に奇跡的に湧水が戻り、見事に復活しました。その結果、縫ノ池は「22世紀に残す佐賀県遺産」の一つに選定されています。

縫ノ池・厳島神社と湖畔林の歴史

縫ノ池が位置する白石平野は、佐賀平野の西南部に広がる地域で、もともとは豊かな湧水群で知られていました。この地域の湧水は、農業用水や生活用水として古くから利用されており、縫ノ池も800年以上の歴史を持つと言われています。しかし、干拓事業が進み、農業用水の需要が増大すると、水不足が深刻化しました。特に、昭和30年代の干ばつ対策として多くの深井戸が掘られた結果、地域全体の湧水は枯渇し、1958年には縫ノ池も干上がってしまいました。

しかし、2001年に佐賀導水事業が行われ、表流水に切り替えられたことで状況が一変しました。同年4月、縫ノ池の厳島神社周辺から再び湧水が現れ、池が復活。湧き水は飲用にも適しており、「金妙水」と名付けられています。この湧水は観光名所としても人気を集め、地元住民が設置した水汲み場は、水を汲みに訪れる観光客で賑わっています。湧水の量は毎秒1.2リットル、1日に10万リットルもの水が湧き出ており、池全体では1日に20万リットルもの水が湧き出ていると言われています。

縫ノ池の伝説と厳島神社

現在、縫ノ池の中央には厳島神社が鎮座していますが、かつては弁財天が祀られていたと伝えられています。この神社は、平重盛が建立したとも言われており、その歴史は非常に古いです。縫ノ池の湧水は、近隣の多良岳に降った雨が地下を長年かけて流れてきたものと考えられています。

さらに、この池には美しい伝説が残されています。それは、嬉野市の西部にある「轟の滝」に住む龍神が、縫ノ池の弁天に会いに来たという恋物語です。このような伝説が語られることで、縫ノ池は自然の美しさだけでなく、神秘的な魅力も併せ持っています。

縫ノ池の名前の由来

縫ノ池の名は、約500年前にこの地を治めていた須古城主・平井経治の叔父である「縫殿助冶綱(ぬいとのすけやつな)」に由来します。当時は「縫殿ノ池」とも呼ばれていました。さらに、池の底には竜宮城があるという伝説もあり、狩りを好んだ平井経治が乙姫の怒りを買い、その怒りを鎮めるために縫殿助冶綱が謝罪に行ったという物語も伝えられています。

縫ノ池の受賞歴

縫ノ池は、その美しさと自然再生の取り組みが評価され、さまざまな賞を受賞しています。以下はその一部です:

縫ノ池へのアクセス

縫ノ池へのアクセスは、国道207号から武雄北方方面へおよそ3キロの距離です。最寄り駅は肥前白石駅または肥前竜王駅ですが、駅からは公共交通機関がないため、タクシーや車での移動をお勧めします。

縫ノ池は、地元住民や観光客に愛される癒しのスポットであり、自然の力を感じながらリラックスできる場所です。歴史と伝説が息づくこの池を訪れることで、過去と現在が交差する瞬間を体験できるでしょう。ぜひ、縫ノ池に足を運び、その美しさと静けさを味わってみてください。

Information

名称
縫ノ池
(ぬいのいけ)

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