佐賀県唐津市の呼子町は、東松浦半島の先端に位置し、加部島が玄界灘の荒波から港を守る天然の良港として古くから栄えてきた。この小さな港町は、「イカの町」として全国的に知られている。イカの味わいを一年中楽しむことができ、食べられるイカの種類は季節によって異なる。10月中旬から4月中旬はアオリイカで、1月~3月はヤリイカ、4月中旬から10月中旬までがケンサキイカ。呼子の朝市は、元旦を除いて毎日開催されており、日本三大朝市の一つとされている。江戸時代から続くこの朝市では、毎朝7時30分から11時頃まで、朝市通りに鯨肉や新鮮な魚介類、地元の農産物が交換されてきた。露店では海産物や野菜、果物などが販売され、特に人気なのは干物。イカの一夜干しやアジの干物など、各店の手作り品は味も異なる。明治33年(1900)創業の木屋は、朝市とともに発展してきた海産物の製造販売を手掛ける老舗。呼子は朝市とともにイカの町として知られる。生干しいかは呼子の名物で、獲れたてのイカを天日干しで仕上げた風味豊かな一品。軽く焙(あぶ)って食べるとイカの旨みが口中に広がり、酒の肴にぴったり。玄海の海が恵む呼子の味だ。上品でやわらかな口当たりの「生干しやりいか」、酒のつまみやお茶うけに合う「いかの塩辛」もおすすめ。