加部島は、佐賀県唐津市呼子町に属し、玄界灘に位置する美しい島です。この島は呼子港から約500m沖にあり、呼子大橋を介して本土と結ばれています。加部島は、その自然美と歴史、そして豊かな特産品で訪れる観光客を魅了しています。
加部島の面積は約2.68平方キロメートルで、人口は2022年11月1日現在で464人です。これは2010年の国勢調査時の583人から減少しており、さらに1995年の762人からも大きく減少していることがわかります。島の名前はかつて「壁島」とも呼ばれており、呼子港の目の前に位置することから、玄界灘の荒波から港を守る天然の防波堤として機能しています。
加部島の分水嶺は南に寄っており、最高峰は南西部にある天童岳です。北側は台地状の平坦な土地が広がっており、島全体の地質は玄武岩質です。特に北部の海岸は柱状節理が見られ、海蝕崖が特徴的な風景を作り出しています。
加部島には加部島集落と片島集落の2つの集落があります。ここでは漁業と農業が主要な産業となっており、ハマチの養殖やイカの水揚げが行われています。また、島の農業では稲作や野菜類、柑橘類(特に呼子甘夏)の栽培が盛んで、肉牛の飼育も行われています。特産品としては、甘夏やそれを加工した甘夏ゼリーが有名です。
加部島は玄海国定公園の一部として保護されています。また、2009年には島の「防風垣が守る畑地景観」が、朝日新聞社・森林文化協会による「にほんの里100選」に選ばれました。島の北部には杉ノ原牧場があり、ここには6世紀初頭の前方後円墳「瓢塚古墳」が存在します。この古墳は、日本武尊の子である稚武王の墓とする説があり、歴史的にも興味深い場所です。
加部島には、松浦古事記にも記載されている田島神社があり、この神社は佐賀県内で最も古い神社とされています。田島神社には、松浦佐用姫にまつわる伝説が伝わっており、境内には佐用姫神社も併設されています。佐用姫伝説は、遣唐使時代に朝廷から特別な扱いを受けた歴史を持つ島にさらなる深みを与えています。
加部島への交通手段は非常に便利です。島の南部と本土の呼子町殿ノ浦を結ぶ全長727mの呼子大橋が架かっており、車や公共交通機関を利用して容易に訪れることができます。唐津市呼子町内の国道204号には、呼子大橋への案内標識が設置されています。
呼子大橋を通り、呼子市街地の呼子バスのりばと加部島を結ぶ昭和自動車の路線バスや乗合タクシーが運行されています。島内には呼子大橋のたもとと島の東側にバス停があり、加部島杉村から呼子までは約15分です。呼子では唐津市中心部と呼子を結ぶ昭和バスとも接続しており、島外からのアクセスも容易です。
加部島には多くの観光スポットが点在しています。歴史的な場所から自然の美しさを楽しめる場所まで、多彩な魅力が訪れる人々を引きつけています。
田島神社は、佐賀県最古の神社とされ、松浦佐用姫伝説が伝わる佐用姫神社を併設しています。この神社は、遣唐使時代に重要な役割を果たした歴史的な背景を持ち、訪れる人々に深い歴史の一端を感じさせます。
風の見える丘公園は、島の北部に位置し、玄界灘を一望できる絶景スポットです。特に夕日が美しく、カップルや家族連れで訪れるには最適な場所となっています。
杉ノ原牧場は、島の北部に広がる広大な牧場で、自然と触れ合えるスポットです。また、牧場内には瓢塚古墳があり、古代の歴史に思いを馳せることができます。
加部島は、自然の美しさと歴史的な遺産が融合した魅力的な観光地です。玄界灘の荒波から港を守る防波堤としての役割を果たしつつ、豊かな自然と文化、歴史を訪れる人々に提供しています。島内では、漁業や農業が盛んで、特産品の甘夏やその加工品である甘夏ゼリーも人気です。また、田島神社や佐用姫神社など、歴史的な観光スポットも多く、豊かな歴史文化に触れることができます。