佐賀県

佐賀県立美術館

(さが けんりつ びじゅつかん)

佐賀県立美術館は、佐賀県佐賀市城内に位置する県立の美術館です。佐賀県立博物館と通路で接続しており、両館は一体的に運営されています。美術館としての役割を果たしながら、地域に根ざした文化・芸術活動を支えています。

設立の経緯と運営体制

佐賀県立博物館は1970年に開館し、当初は美術館としての機能も兼ね備えていました。しかし、佐賀県の施策として1980年に100年記念事業の一環として独立した美術館を建設する計画が立てられ、1983年10月8日に佐賀県立美術館が開館しました。

美術館は博物館と一体的に運営され、厳密には博物館事業の一部門として位置付けられています。このため、県立美術館と博物館の役割分担については、議論があるものの、両施設は相互に補完し合っています。両館は同一の住所に位置し、アクセスも非常に便利です。

展覧会とテーマ展

佐賀県立美術館では、さまざまなテーマ展が開催されています。2014年には「フランスの宝石箱 ナント美術館展」が開催され、約1か月半にわたり多くの来館者を集めました。また、「幕末佐賀の近代化産業遺産」といった歴史的なテーマを取り上げた展示も行われています。

こうした展示は、佐賀県の歴史や文化を深く掘り下げ、訪れる人々にその魅力を伝える役割を担っています。また、特定のアーティストや地域に焦点を当てたテーマ展もあり、地元出身の芸術家や歴史的な遺産に光を当てています。

GLAM施設との交流事業

佐賀県立美術館は、他のGLAM施設(Gallery, Library, Archive, Museum)との積極的な交流も行っています。2022年には、青木繁と坂本繁二郎の生誕140年を記念して、九州各地での美術館間の交流事業が実施されました。これにより、佐賀県立美術館は他の文化施設との連携を強化し、芸術文化の普及に努めています。

教育活動と学童向け企画

佐賀県立美術館では、訪れる人々に向けて教育的な取り組みも行っています。例えば、展覧会の解説や関連する文献の紹介などを通じて、利用者がより深く作品やテーマを理解できるようサポートしています。また、学童向けの企画も定期的に実施されており、夏休み期間中には「こどもミュージアム」と題したイベントが開催されます。2011年には「現生の動物」や「美術の中のいきものたち」といったテーマで展示が行われ、子供たちに生物や芸術について学ぶ機会が提供されました。

主な収蔵品

佐賀県立美術館では、佐賀県にゆかりのある芸術家の作品を中心に、約3700点の収蔵品を所蔵しています。これには絵画、彫刻、工芸品、書跡などが含まれます。主な収蔵作品には、岡田三郎助、藤田嗣治、柴田是真などの著名な作家による作品があります。

美術家の作品

佐賀県立美術館では、佐賀県にゆかりのある近現代の芸術家たちの作品を収蔵しています。その中でも、特に注目すべきは岡田三郎助や久米桂一郎といった地元出身の著名な画家たちの作品です。岡田三郎助の『エレガンス・オブ・ニッポン』や『婦人半身像・下絵』、さらには『裸婦』といった作品は、佐賀県立美術館の代表的な収蔵品として広く知られています。

また、石田英一や大隈武夫といった他の芸術家たちの作品も展示されており、訪れる人々に多様な芸術表現を紹介しています。

代表的な収蔵作品

工芸品と書跡

美術館では、絵画や彫刻だけでなく、工芸品や書跡も収蔵されています。例えば、『小川嶋鯨鯢合戦』や『七福神図』といった伝統的な工芸品、さらには鍋島直正の『先憂後楽』や副島種臣の『帰雲飛雨』といった書跡も展示されており、来館者に歴史的価値の高い作品を提供しています。

代表的な収蔵作品

特別展示室「OKADA-ROOM」

佐賀県立美術館には、県出身の近代洋画家・岡田三郎助をテーマにした常設展示室「OKADA-ROOM」があります。ここでは、岡田の代表作を展示し、定期的に展示替えが行われています。また、彼の業績を顕彰するための特別展示も行われています。

岡田三郎助アトリエ

美術館の敷地外には、東京都渋谷区にあった岡田三郎助のアトリエが移築されており、彼の創作活動を再現する貴重な場所となっています。アトリエに接続する「女子洋画研究所」も再現されています。訪れる人々は、当時の芸術家の創作環境を肌で感じることができます。

古賀忠雄 彫刻の森

佐賀県出身の彫刻家である古賀忠雄の作品も、美術館の外に展示されています。この「古賀忠雄 彫刻の森」では、自然の中に配置された彫刻作品を楽しむことができ、訪れる人々に彫刻芸術の魅力を伝えています。

利用情報

所在地とアクセス

佐賀県立美術館の所在地は、佐賀県佐賀市城内1-15-23です。JR九州の長崎本線「佐賀駅」から徒歩30分、タクシーで約11分で到着します。また、佐賀市営バスを利用する場合は、「博物館前」バス停で下車し、徒歩1分という便利な立地にあります。

開館時間と休館日

美術館の開館時間は、午前9時30分から午後6時までです。休館日は毎週月曜日および年末の12月29日から31日までです。

観覧料

常設展の観覧料は無料ですが、企画展の期間中は有料となることがあります。なお、高校生以下や障がい者、その介助者については常に無料で観覧できます。

駐車場

美術館には駐車場があり、東側に75台、博物館側に39台の合計114台分の駐車スペースがあります。駐車場の利用は無料で、東側は午前7時から午後9時まで、博物館側は午前9時から午後8時まで利用可能です。

まとめ

佐賀県立美術館は、佐賀県内外の芸術家による多彩な作品を展示し、美術に関する教育や文化交流を推進しています。収蔵品の質の高さや、岡田三郎助を中心とした展示内容が特に注目されています。また、教育活動やGLAM施設との交流を通じて、地域社会に貢献している美術館です。佐賀を訪れる際には、ぜひ立ち寄ってみてください。

Information

名称
佐賀県立美術館
(さが けんりつ びじゅつかん)